筆を持つと、ふしぎと心がすっと落ち着きます。
今日は「ゆるめる」という言葉を、いっしょに書いてみませんか。
書くこと自体が、すでに「ゆるめる」時間のはじまりかもしれません。
「緩(ゆるむ)」という字に宿る、手と手のあいだ

「ゆるめる」を漢字で書くと「緩める」。
この「緩」という字をよく見ると、右側にあるのは「爰(エン)」という字です。
「爰(エン)」は、上と下に「手」を表す形が並んでいて、そのあいだに「間」がある様子を表しています。
手と手のあいだに、ちょうどいい余白がある。
ぎゅっと握りすぎず、離しすぎず。
そのゆとりある状態を「糸(いとへん)」と合わせて「緩」と書いたのだそうです。
「ゆるめる」と「ゆるす」は、双子のことば

もうひとつ、おもしろいことを知りました。
「ゆるめる」と「ゆるす(許す)」は、古い日本語ではもともとほぼ同じ意味だったそうです。
縛っていたものを解く、自由にする、解放する。
物理的に「ゆるめる」ことと、心「ゆるす」ことは、むかしの人には同じひとつの感覚だったのかもしれません。
だとしたら、自分をゆるめることは、自分をゆるすことでもあるんじゃないかな。
そう思ったら、なんだかじんわり胸があたたかくなりました。
ぼーっとする、という才能

「いちばんゆるんだなと感じるのはどんなとき?」
と聞かれたら、

ぼーっとしているとき
と迷わず答えます。
何も考えていないようで、頭のなかが静かになっているあの感じ。
窓の外を見ているとも、見ていないともつかない時間。
あれって実は、すごく大事な「ゆるめ」の時間なんだと思います。
何かをしながらゆるもうとすると、なかなかうまくいかないことがある。
ぼーっとすることは、何もしていないように見えて、心が「休め」の姿勢をとっている瞬間。
日本語に「間(ま)」という美意識があるように、何も入っていない時間こそが、次の動きを生むのかもしれません。
筆文字で書く「ゆるめる」のコツ


さて、実際に「ゆるめる」を書いてみましょう。
まずは、
①文字の形をイメージしてみる
○▽△□▭などそれぞれの概形をつかんでおくと、動きやすくなります。
②「ゆるめる」のひらがな4文字、すべて同じ大きさにする必要はありません。
読んでいて心地よいリズムになるよう意識してみましょう。
「ゆ」のポイント
1画目の縦線にほんの少し丸みをつけてあげると、ふっくらやわらかい印象に。
鋭角を怖れず、曲線で包み込むように書いてみてください。
「る」のポイント
最後の「結び」の部分を力まずに、小さな三角を作るイメージで。
「め」のポイント
内側の空間に「空気を通す」イメージで。
線が密集して窮屈にならないよう、まんまるの穴を心がけると、ゆったりした文字になります。
蕾がゆるむように


春になると、「つぼみがゆるむ」という表現があります。
梅や桜の固いつぼみが、ゆっくりと外側へひらいていく様子のこと。
長い冬のあいだ、ぎゅっと内側に力を溜めてきた蕾が、温かさに出会ってはじめてふっとゆるむ。
私たちも、それと同じなんじゃないかと思うのです。
ずっと頑張ってきたものが、ある瞬間にほどけて、顔がほころぶ。
「綻ぶ(ほころぶ)」という言葉は、内側の生命力が溢れ出す瞬間のことを言うのだそうです。
ゆるむのではなく、ほころぶ。
そのほうが、なんだか生き生きしていて好きだなあと思いました。
今日の一筆


「ゆるめる」という4文字を、今日ゆっくり書いてみてください。
上手に書こうとしなくていいです。
線が震えても、バランスが崩れても、それがあなたの体温のある文字です。
書き終わったら、筆を置いて、ひとつ深呼吸。
そのあとはもう、ぼーっとしていてもいい。
それだけで、今日はじゅうぶんです。
手と手のあいだに余白があるように、
自分のなかにも、そっとゆとりを。
なぞり書きシートを制作中です
現在、この「ゆるめる」という言葉を、ゆっくりとなぞりながら心をほどいていただくための「なぞり書きシート」を、心を込めて制作しております。
完成しましたら、またこちらでお知らせしますね。
あなたの「ゆるめる」時間に、そっと寄り添えるものになりますように。


