手書きの一言は、なぜ残るのか
職場に入って間もないころ、まだほとんど話したことのない目上の方の机に、伝言メモをそっと置いたことがあります。ただそれだけのことでした。
ずっとあとになって、飲み会の席でその方に言われました。「あのメモ、印象に残ってるよ」と。
デジタルのメッセージは、読まれた瞬間に消えていく気がします。手書きの一言は、なぜか残る。
上手く書けなくていい理由
上手く書けなくていいんです。
文字の形よりも、「書いた」という事実が伝わるから。
キーボードで打った文字は、誰が打っても同じ形をしています。でも手書きは違う。少し歪んでいても、筆圧が強くても弱くても、その人にしか書けない一行になります。
だから残るんだと思います。机の上に、記憶の中に。
「お疲れさまです」に込められた気持ち
「お疲れさまです」は、挨拶以上の言葉だと思っています。
無理しないでね。お身体に気を付けてね。
そんな気持ちが、この五文字に静かに込められている。
だから手書きで残したとき、受け取った人の心にそっと届くのかもしれません。
付箋一枚から、始めてみる

特別な準備は何もいりません。
外出中の上司の机に、頼まれていた資料をそっと置く。そのとき、付箋を一枚添えるだけでいい。
「お疲れさまです」
それだけです。
資料を置いて、ペンを置く前にもう一言。時間にすれば数秒のことです。でもその数秒が、戻ってきた上司の目に、ふと留まることがある。
私自身がそうでした。何気なく置いた伝言メモが、ずっとあとになって「印象に残ってるよ」という言葉になって返ってきた。
上手く書こうと力まなくていいんです。
丁寧に書く。それだけで十分。
書く前に、一つだけ
書く前に、相手の顔を思い浮かべてみると、文字が変わります。
上手さより、温度。ずっとそう感じてきました。
書き慣れていない人の、少し歪んだ「お疲れさまです」の方が、伝わることがある。
手書きのある日常へ
今日の資料に、付箋を一枚添えてみるだけでいい。
特別な道具も、練習も、いらない。
手書きの一言は、静かに、でも確かに残っていきます。

