6月に入り、少しずつ汗ばむ日が増えてきましたね。ニュースを開けばせわしない情報が溢れる毎日ですが、そんなときこそ、日常の中に小さな「涼」を見つけて、ホッと一息つきたくなります。
今回ご紹介したい言葉は、「風鈴(ふうりん)」です。
真っ白な和紙の上に、静かに、でも凛とした気配を込めてこの二文字を書いてみました。
デジタルフォントの均一な文字にはない、毛筆ならではのかすれや墨の濃淡。そこには、ただ文字として読めること以上の、不思議な「涼しさ」が宿っているような気がします。
今日は、この「風鈴」という美しい日本語の由来や、心をゆるめて文字を眺める(あるいは書いてみる)ひとときを、みなさんと一緒にお裾分けできれば嬉しいです。
風の鈴、と書いて。言葉の由来にふれる時間
「風鈴」という言葉をじっと眺めていると、それだけでどこからか、ちいさな涼しい風が吹き抜けていくような気がします。
もともと中国から伝わった「占いの道具」が始まりだったと言われる風鈴ですが、日本の夏にこれほど溶け込んだのは、私たちが「目に見えない風を、音に変えて楽しむ」という、おだやかで粋な心を持っていたからかもしれません。
昔の人は、風鈴の音色が聞こえる範囲は「災いが届かない、聖なる場所」だと信じていたそうです。
忙しい日常の中で、ふと耳を澄ます一瞬。あの「チリン」という涼やかな音は、私たちのざわついた心をそっと守り、ゆるめてくれるお守りのようですね。
「風鈴」をきれいに書く、ちょっとしたコツ
今回、私は「やや崩したやわらかい楷書」を意識して、この二文字を揮毫しました。もし、お家で筆ペンなどを手に取って「書いてみたいな」と思われた方へ、ちょっとしたコツをお裾分けします。

①「風」のなかに、心地よい風を通す
「風」という文字を書くときは、外側の大きな「かまえ」の中に、たっぷりと広い空間(余白)を作ってあげるのがポイントです。中に風がすーっと通り抜けるようなイメージで、のびのびと中身を書いてみてください。
②「鈴」の右側は、凛とした重心で
かねへんの横で、右側の「令」がすくっと美しく立つようにバランスを取ります。
右下に重心をもってくるようにするだけで、全体のバランスが安定します。
そしてここでも「余白」を意識して軽やかに。風鈴の短冊がゆらりと揺れているような情景をイメージするといいかもしれませんね。
文字の中にある「白くて美しい余白」を、軽やかに、楽しむように筆先を動かしてみてくださいね。
おわりに

綺麗なお手本通りに、正しく書ことだけが書道ではありません。
お気に入りの冷たいお茶を淹れて、風鈴の音に耳を傾けながら、ただ「文字と遊ぶ時間」そのものを愛おしむ。そんな、肩の力を「ぼちぼち」抜いたひとときこそが、今の私たちへの一番の贈りものだと思うのです。
あなたの暮らしに、やさしい夏の風がふっと吹きますように。

