日々の景色を、私らしく色づける。「彩」の文字に込める、心をほどくひととき。

筆文字「彩」。背景には美しい紅葉が青から赤へと紅葉している様子。

毎日、家事やお仕事、そして誰かのために一生懸命なあなたへ。

今日もお疲れ様です。

ふと立ち止まったとき、

なんだか最近、景色がモノクロに見えるな……


なんて感じることはありませんか?

自分のことはいつも後回し。

気づけば、心に余裕という名の「余白」がなくなっている。

そんなとき、私は真っ白な紙に向かい、ただ一文字の漢字を書き続けることがあります。

最近、私の指先が好んで選ぶのは「彩」という一文字。

今日は、この「彩(いろどり)」という文字を通して、私が感じた「心の整え方」をお裾分けさせてくださいね。

目次

腕を動かす、その先に待っているもの

筆で、白い紙に文字を書きだした様子。

最近の私は、ひたすら一文字の漢字を書き込んでいます。

筆を持ち、墨の香りに包まれながら、何枚も、何枚も。

最初は「うまく書こう」という雑念が頭をよぎることもあります。

けれど、ひたすら腕を動かしているうちに、いつの間にか思考が止まり、ただ筆先の動きと呼吸が重なっていく。

そうして没頭していると、ふとした瞬間に

あ、今の感覚、すごくいいな

と感じる時が訪れます。

それは、何かが特別に上手くいったというよりも、自分の中の淀みがスーッと流れて、心地よさが広がっていくような感覚。


「今のままで、大丈夫」。


文字を書きながら、自分自身からそんな全肯定をもらっているような、不思議な安心感に包まれるのです。

「彩」の成り立ちが教えてくれること

「彩」のなりたちを紹介する。真っ赤な木の実や、光の表現。

」という漢字は、左側の「采(サイ)」と、右側の「彡(サン)」から成り立っています。

」は、木の実をそっと手で摘み取る様子を表しているのだそう。

そして「彡」は、美しい模様や光の筋を象徴しています。

つまり、「」という字には「自然の中から、美しいものを選び取って整える」という意味が込められているのですね。

私たちは、日々の忙しさの中で、ついつい「足りないもの」ばかりに目を向けてしまいがち。

でも、本当は私たちの周りには、すでにたくさんの「美しさ」が転がっているのかもしれません。

夕飯の準備で切った人参の鮮やかなオレンジ色。

帰り道にふと見上げた空の、言葉にできないほど優しい青。

大切に育てている植木の、力強い緑。

そんな小さな彩りを、自分の心で「選び取る」。

その意識を持つだけで、モノクロだった景色が少しずつ、自分らしい色に染まり始めるような気がするのです。

三本の線に、個性を宿して

「彩」筆文字の書き方のヒント。三本の払いは、少しずつ心を開くように角度を変えて。

左側〈出典:伏見沖敬編『書道字典』角川学芸出版〉

「彩」を書くとき、一番の楽しみは右側の三本線(彡)です。

ここをどう払うかで、文字全体の表情がガラリと変わります。

この三本線、実はすべて同じ角度や長さで書く必要はないんですよ。

むしろ、一本一本が少しずつ違う向きを向き、違う長さで伸びていく。 その「違い」こそが、この文字に豊かな表情を与えてくれるのです。

私はこの線を書くとき、「少しずつ、心を開いていく」ような感覚を大切にしています。


  一本目は、少し緊張した自分。

二本目は、ふうっと息を吐き出した自分。

三本目は、のびのびと自由になった自分。


それぞれが個性的でいい。

無理に揃えようとしなくていい。 その「ゆらぎ」があるからこそ、文字にも、人にも、温かな「彩り」が宿るのではないでしょうか。

頑張りすぎない「彩り」を、日常に

薄暗い中に、パッと目を引く真っ赤な花。お気に入りの花瓶に入れて。

彩りを添える」と聞くと、何か特別なことをしなきゃいけないような気がして、ちょっと身構えてしまうかもしれません。

でも、そんなに肩を肘を張らなくても大丈夫。

例えば、お気に入りのお皿に、買ってきたお惣菜を移し替えてみる。

それだけで、食卓の景色は変わります。

例えば、朝、一杯の白湯を飲むときに、窓の外の光をじっくり眺めてみる。

それだけで、心の温度は上がります。

心地よさを感じられる瞬間は、案外、足元にたくさん隠れています。

言葉を変えてみるなら、それは「自分を慈しむ時間」を、ほんの少しだけ選び取ること。

特別な力に頼らなくても、私たちは自分の手で、今日という一日を彩り豊かなものに変えていけるのです。

筆文字で、心に余白を

「彩」筆文字のはがき作品。黄色いミモザの花のイラストを添えて。

もし、あなたが今「少し疲れたな」と感じているなら。

ほんの少しの時間、ペンを握って「」の文字をなぞってみませんか?

(※現在、みなさんに気軽に使っていただける「なぞり書きシート」を製作中です!完成したら、ぜひこちらでお知らせさせてくださいね。楽しみにしていてください。)

三本線を書くときに、一つひとつの線に「今日の自分」を乗せてみる。

今日はよく頑張ったね

明日は少しゆっくりしようかな


そんな会話を、自分自身と楽しみながら。

筆先から伝わる心地よさが、あなたの心をそっと、優しく整えてくれますように。

今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

あなたの明日が、あなたらしい素敵な彩りで満たされますように。

わたぼうし
筆耕士
「ゆるく、楽しく、頑張らない」がモットー。自身の経験から、正しさよりも「心地よさ」の中で生まれる生きた文字を大切にしています。 さとう式リンパケアで身体を整えつつ、小筆や筆ペン作品を制作。小筆や筆ペンで綴る作品などはminneのショップで販売中です。
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